シエラレオネの洪水被害は人災だった-途上国でどこにでも起こりえる脆弱な災害対策と課題要因について

 

2017年8月にシエラレオネ共和国の首都フリータウンにおいて雨季による甚大な洪水被害により、大規模な土砂崩れが発生し、600名以上が死亡し、約500名が行方不明になりました。

実際に土砂崩れがあった山
(下里撮影)

私たちは、被害にあった77名の災害孤児に対して約30万円の教材支援を行い、そのうち現地オフィスに近い里親宅に引きられた18才未満の10名の孤児に対して、毎月家庭訪問を行い、金銭的(一人約3,000円)な教育支援を継続して行っています。災害孤児支援を続けてから半年がたちました。



災害孤児支援の様子は2度現地新聞に
取り上げていただきました。
2度目はなんと!
一面記事に大統領と一緒に!(‘Д’)

 

祖母に引き取られることになったセイラ1歳

左にうつるのは、セイラの姉12歳のイエール。18人家族を失い、未だに全員が行方不明です。当時、里親となった祖母の家に、セイラとともに滞在していたため無事でした。

災害孤児支援についてはこちら

災害から1年がたとうとしていますが、興味深いレポートをここ1年で幾度かみかけたので、紹介したいと思います。

Freetown flood disaster was ’90 percent man-made’

引用元記事はこちら☟

Freetown flood disaster was ’90 percent man-made’

「今回の被害(死者数約1,000名)は自然災害ではなく、ほとんど人災であった」

と主張する記事です。

シエラレオネの人口は700万人と言われていますから、甚大な被害であったことは言うまでもありません。洪水被害と規模を分析すると、自然的に発生したものであるけれど、被害の結果は「途上国ならではの人災的なものであった」というのが今回の視点です。

被災時期は雨季のピークだった

画像引用元:Water Spark

シエラレオネは、世界で最も雨の多い地域の一つともいわれています。同国の雨季は災害の発生した8月中旬が最も降雨量が多く、上記画像は年平均ですが、例年と比べ、災害当時の8月の降雨量は800mmも観測されたとのこと。(ちなみに、3日間続いた豪雨の最中に発生した。)

 

【原因1】進む森林伐採による土壌の消耗

首都フリータウンは海抜が0mと洪水が発生しやすい地域であったと言えます。また、未整備のインフラも今回の被害を甚大なものにした要因になっていると考えられます。

石炭・薪等を作るために森林伐採も深刻。森林伐採が進むと、地盤が弱まり、土砂崩れの発生しやすい土地になります。

Mapping deforestation and urban expansion in Freetown, Sierra Leone, from pre- to post-war economic recovery

→こちらの記事によると、1986年に比べ14.7%、建築のための森林伐採が進んだと記載されています。

【原因2】さらに被災地はもともと建築禁止の土地であった

首都には小高い丘がたくさんあり密集して家屋が建ち並んでいます。政府は地盤の弱い山肌の地域に建設することを禁止していますが、住民は徐々に居住区を広げています。市街地に比べ土地代が安く、薪や木炭の材料が簡単に手に入るということも要因の一つかもしれません。

…これは現地に住む人々に聞いた”噂”ですが、地主は土地を売ったあとに、「そういえば、ここに家を建てるのは禁止されているから建てないでね~」というようなことを言うんだとか。信じられない!

シエラレオネの全体の識字率は約48.1%、特に、高齢者の文盲は8割と言われているので、内戦の影響や教育インフラを享受できなかった家族内の意思決定者が、”読めない契約書にサインしてしまった”ケースの一つなのかなと思いました。

(さらに、基礎教育すら十分に受けていない彼らが、リスキーな居住区であることや、災害予防等を周知されていたとは考えられない)

【原因3】安価な家屋

冒頭で紹介したセイラとイエール宅。
雨季はひどい雨漏りだそう。
セキュリティ面も心配…

倒壊・被災した建物のほぼすべてが、安価なトタン屋根に木でできた基礎のしっかりしていない家屋でした。また、密集して建てられた家屋間を移動する道路はなく、石を階段のように敷き詰めて人々は移動しています。こういった不安定な状態で設置された大きな石が、土砂災害とともに家屋を破壊しながら流れていったことが推測できます。

 

 

 

人災は再び起こる

全人口のうち4割の人々が首都で生活しており、今後も首都人口は増えるだろうと予測しています。加えて、シエラレオネ人はほとんどが10名以上の大家族で密集して地域で支え合って暮らしていますから、家屋の密度も今回の被害の結果を導いたと言えるでしょう。

ちなみに、毎年の人口増加率は22.2%。順調に約20万人ずつ人口は増え、超多子若齢化社会です。

(0歳~15歳の人口が全体の5割!)

画像引用元:Country meters

街の中心地に近い土地は割高で、今後も山肌に家を建てざるを得ない人々は増えるでしょう。

 

 



 

 

 

災害対策のリアル

政府の対策がいそがれますが、実際に災害発生から何度も被災地を訪れた私が見たのは、家を再建するために近隣の森を燃やしている人々。(今回の洪水で家を失った人々は1,000人ほどと言われています。)

災害から学べない、そもそも、街に家を建てる金銭的な余裕のない人たちが、また同じ安価な土地に家を建てようとしているようでした。つまり全ての因果がやっぱり「貧困」にあるんですね。

 

 

災害当時はユニセフがテントを建て、赤十字が中心に被害者への治療支援を行っていました。また、現在は被災地自体は立ち入り禁止になり、2018年5月に訪れたときには、政府によって立ち入り禁止エリアが設けられ「ここでたくさんの人が亡くなったから防護服を着るように」と言われました。

(えー今更。去年入っちゃったんだけど…)と思いましたが、現地の人々は「今更そんなの意味ないだろ。」というように、ちょっと馬鹿にしていました。災害当時は避難テントでコレラが流行したそうなので、そういった心配もあるとのこと。

 

 

というのが、今回浮き彫りになった、【課題】と【要因】です。

次の記事では、実際の政府・支援組織の予防・解決実施策について深堀りしていきたいと思います。

 

私たちの災害孤児支援に協働していただける、里親サポーターも募集していますので、詳しくはHPをご覧ください。毎月孤児たちのお写真をお送りいたします。

 

アラジ代表

下里夢美

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下里 夢美
下里夢美(27歳)月間12万PV「下里夢美オフィシャルブログ」を執筆。NPO法人アラジ代表理事。「世界で一番命の短い国」シエラレオネで3つの貧困削減プロジェクトと日本人ゲストハウス「CHAMELEON」の運営に取り組む。現地法人Africa Lion.Ltd 代表取締役。「日本最大のアフリカに挑戦する女性のためのコミュニティ・アフリカ女子部」部長。2014年3月より活動をはじめ、2017年7月にNPO法人化。※インタビュー・講演のご依頼は「shimosato@alazi.org」にて!現在第1子となる息子君を妊娠中。2019年3月出産予定。
yumemi

下里夢美(27歳)月間12万PV「下里夢美オフィシャルブログ」を執筆。NPO法人アラジ代表理事。「世界で一番命の短い国」シエラレオネで3つの貧困削減プロジェクトと日本人ゲストハウス「CHAMELEON」の運営に取り組む。現地法人Africa Lion.Ltd 代表取締役。「日本最大のアフリカに挑戦する女性のためのコミュニティ・アフリカ女子部」部長。2014年3月より活動をはじめ、2017年7月にNPO法人化。※インタビュー・講演のご依頼は「shimosato@alazi.org」にて!現在第1子となる息子君を妊娠中。2019年3月出産予定。