貧しい国にモノを送るのは良いか悪いか?ー私たちが物品寄付をお断りする4つの理由【下里夢美の開発協力アウトプット】

貧しい国に、モノを送るのは良いか悪いか?

「いらないものを寄付したいのですが…」

とよく問い合わせをいただきます。

もしくは…

「友人を訪ねてシエラレオネに行くのですが、小学校に寄付するのに、何を買っていったらいいですか?」

上記に対する私たち(NPO法人アラジはシエラレオネ共和国で小学校・孤児支援・就労支援に携わっています)の回答は、「物品寄付は受け取っていないのでごめんなさい」です。

貧しい国にモノを送ることを、どうして私たちは拒否しているのでしょうか。理由はさまざまですが、主に4つの理由を下記にあげていきます。また、どうしても物品寄付をしたい!という方のためにその後におすすめの寄付方法をご紹介していきます。

※タイトルに「貧しい国」と入れていますが、ここでは国際連合の定める、LDC:Least Developed Country・後開発途上国(シエラレオネを含む)の47か国を示すものとし、その中でも現在、テロ・紛争・難民問題・自然災害に貧窮する人々を除外するものとします。(詳しくは外務省HPが見やすいです

1. 物品支援は、現地経済を破壊する

物品支援が現地経済を破壊しています。有名なのはやはり蚊帳援助の話しではないでしょうか。ダンビサ・モヨ氏が書いた『援助じゃアフリカは発展しない(『Dead Aid』)』でも、有名なエピソードの一つです。

蚊帳(モスキートテント)は、殺虫剤をしみこませたネットのことで、この中に入って就寝することで、マラリアへの絶大な予防効果を期待できます。ちなみに、シエラレオネで蚊帳の中にいると、蚊帳に触れた蚊の死骸がみるみる周りに散乱していくので、結構強力な薬が塗られているっぽい…!

とある米国の援助団体が、10,000個の蚊帳をアフリカに寄付しますが、現地で蚊帳を一生懸命作っていた生業は破壊され、蚊帳が古びて穴が開いたころには、修理する地元の蚊帳業者が廃業に追い込まれていた、というエピソードです。また、蚊帳が魚の引き網に使われたり、結婚式のベールになっちゃったりと、本来の支援とは全く違う用途に使われていたという報告もありました。

また、大量の衣料品寄付や教材などの物品寄付も現地で頑張って自立しようとする、卸売りや地元メーカーのビジネス機会を根こそぎ奪っていきます。現地の少ない市場経済の中で、援助のしわ寄せはそのインパクトに比例していきます。

自分たちで自立しようとする彼らは頭を抱えて苦笑いします。

「外国援助にはかなわないよ」と。

これについては映画『ポバティー・インク』や、『貧乏人の経済学-もういちど貧困問題を根っこから考える』『善意で貧困はなくせるか-貧乏人の行動経済学』などの、日本語の開発経済書にも詳しく書かれているので、とってもおすすめです。

2.物品支援は、援助依存を招く

上記のように、頑張って自立しようとせっかくの生業を手に入れた彼らが、手当たり次第に、物資が手に入るようになれば、援助依存を招き、彼ら自らが潜在的にもつ経済発展力の阻害を招きます。

私たちも、シエラレオネの貧しい農村(医療や教育にまだアクセスできない、開発から取り残された地域)で、小学校の教材支援を行っているのですが、お金のない家庭の子どもにだけ、制服を買ってあげてほしい、靴下を買ってあげて欲しい、という要望はすべて断っています。

お金のない家庭の子どもにだけ、今手元にあるお金やものを支援してしまうと、次学期から、本来自前で子どもたちに制服を購入できるはずの家庭から、嫉妬されたり、嘘をついて援助を受けようとされたり、といったこと招くからです。

3.仕分けに人件費がかかりすぎる



「いらないものを寄付したい」

とよく問い合わせをいただくのですが…いらないものは、現地でもいらないものです。

災害支援に携わる友人が、現場で苦労する話しのエピソードの一つに「家の中にあるいらないものたちを、支援パッケージのように一つの段ボールに詰めて送ってこられると、仕分けにとても苦労する」とおっしゃっていました。あきらかな古着を送ってくる人もいて、現地の人々への配慮がないなあ…と感じることもあるそうです。

災害支援や緊急支援については物品支援が必要と考えますが、支援物資を送る際は、なるべく新品のものを、品ごとに分けて段ボールに送っていただけるとスムーズに仕分けができるそうです。

仕分け作業は、支援を平等に配布するという意味でとても重要な作業です。これにとっても時間とお金がかかります。

ジェフリー・サックス氏著の『貧困の終焉』の中でも、国際援助額に占める人件費(先進国のNGO職員やエコノミストに支払われる額)の割合はその半分にも及ぶと述べています。ブロックチェーンにおける援助のIT化などが叫ばれている今、わざわざモノを集めて再分配すること自体がいかに非効率かわかりますね…。

4.そもそも、輸送費がかかりすぎる

例えばですが、20㎏の支援物資を、日本から13,000km離れた、西アフリカのシエラレオネ共和国へ送ったとします。それだけで、送料は7万円ほどです。

もちろんのごとく、個人的に輸送すれば関税もかかります。(一部の国に認められた国際支援組織であれば、支援物資にかかる関税が免除される場合もあります)航空券代ってとっても高いですよね。環境に配慮するエコツーリズムやCSRなどのエコファーストのために使用されているからでもあります。要するに、モノを遠くへ運べば運ぶほど、エコロジーに関するお金や環境税もかかってきてしまうわけです。

(いらないモノと、いる人をITでマッチングすれば、と考える人がたまにいますが、国内循環を越えると、送料などの問題も相まって難しい気がします…)

日本でわざわざ物資を購入し、頑張って仕分けし、高い輸送費と関税を支払うよりかは、そのお金で現地経済を潤したほうが、経済的だし、効率的です。

 

物品寄付のおすすめ方法

とはいえ、「もったいないから有効活用したい!どうせなら、恵まれない国のために…」と考える日本人の素晴らしい国民性は、否定してはいけないと考えます。どうしても物品寄付したい人のための、おすすめの寄付方法を3つ紹介していきたいと思います。

1.WE21ジャパン~リユースショップで世界を変える~

特定非営利活動法人WE21ジャパンは、いただい物品寄付を神奈川県になんと50以上もあるリユース・リサイクルショップ「WEショップ」にて、地域のボランティアさんが販売し、売上において、資源循環型の社会づくり、世界の人びととの民際協力、世界的な貧困や環境問題を学ぶ場づくりを行うNPO法人です。横浜に本部認定NPOがありますが、地域の38のNPOが独立・連携して、神奈川県全域で活動を進めているところも、すごい団体さんです。

WEショップには年間230トン、枚数に換算すると80万枚の衣類が寄付されています。そのうち販売してリユースできるものは全体の42%にのぼり、捨てられてしまうはずだった衣類という資源を神奈川の地域で循環させています。(HPより抜粋)

地域でリユース・リサイクル品が循環し、日々の売上において様々な活動が展開されていますが、全国からも物品寄付でき、WE21ジャパンエコものセンターという倉庫に集められ、各WEショップに配送されます。

物品を寄付するページ

実は下里、大学4年の終わりごろから卒業後半年まで、こちらの本部事務所で広報スタッフとしてアルバイトさせていただいておりました。ただモノを送るのではなく、私たちも地域と繋がって、顔が見える環境で、世界の貧困問題について知っていただきながら、皆さんのご支援を集めていく、これが本当に理想の形だと強く実感した原点がこちらの団体さんでした。

認定NPO法人WE21ジャパン公式HP

2.シャプラニールのステナイ生活

認定NPO法人シャプラニール=市民による海外協力の会は、バングラデシュ・ネパールの支援に長年従事され、日本で一番歴史の古いNGOであり、最初にフェアトレードをはじめたNGOとしても有名です。

シャプラニールのステナイ生活は、書き損じはがきや切手などを集め、ボランティアさんが仕分けし、換金されたのち支援金へとなる仕組みです。BOOK OFFと提携し、本やCDの寄付なども集めています。

シャプラニールで支援金として換金できるモノ

  • 本・CD・DVD・ゲームソフト
  • はがき(書き損じ、未投函)
  • 切手(未使用、使用済み)
  • テレフォンカード
  • トレーディングカード
  • 金券
  • 外貨紙幣
  • 使用済みトナー/インクカートリッジ
  • 家電
  • 貴金属

シャプラニールのステナイ生活

シャプラニールの2017年度の活動報告書をみると、物品寄付だけで6000万円もの支援を集めてらっしゃいます。市民一人ひとりの参加する力と、仕分け作業をするボランティアさんの努力があいまった、老舗ならではのインパクトですね。正直、物品寄付をさばける余力も、参入できる見込みも、アラジのような新しいNPOにとっては難しいので、本当にすごいなと思います…!

ちなみに大学1年時にバングラデッシュの現地オフィスを研修で訪問させていただいたことをきっかけに、下里はこちらでインターンさせていただき、国際協力について学んだ最初の一歩はシャプラニールでした。まだ何もしらない若造が大変お世話になりました…。(そのころからずっとシャプラニールでは、賛助会員です!)

3.ダイヤモンド・フォー・ピースのPC寄付

特定非営利活動法人ダイヤモンド・フォー・ピースは、すべてのダイヤモンドが人道・環境配慮の上、採掘・カット・製造されることが当たり前の社会を目指す国際協力NPOで、主に西アフリカのリベリア共和国において、ダイヤモンドの採掘労働者の調査等を行い、日本においてダイヤモンドの諸問題における啓発活動を行う団体です。

こちらは、PC周辺機器を寄付でき、換金されたお金が、ダイヤモンドを巡る諸問題の解決活動に役立てられます。  

DFPでご寄付いただける機器

  • パソコン
  • スマートフォン、タブレット、iPhone、iPad
  • デジタルカメラ
  • プロジェクター
  • ワークステーション
  • サーバー
  • ハードディスクアレイ
  • ケーブル類
  • ネットワーク機器
  • パーツ類
  • 液晶テレビ

ダイヤモンドフォーピース・物品寄付ページ

現場との意識の隔たり・私たちも頑張って支援を集めているよ

現地パートナーNGOと現地で教材調達の様子

シエラレオネで支援活動を続けていると、たまにとんでもないことを言われたりします。

「日本人は何もしなくてもお金が手に入るんでしょ?」

「あまってる(使い終わった)下着があったらちょうだい」

…などなど。

彼らがそういう考えをもつこと自体の否定はできませんが…。というか、最新のIT機器をいくつもぶら下げて村に来る私が違うっていっても、絶対納得できるわけない。けれど、上記にあげた団体さんたちや、そこに寄付する人たちの、とてつもない苦労や努力があって、私たちNPO/NGOが皆さんに託していただいたお金で活動していることは事実です。ので、私たちも苦労してお金をかき集めているんだよ(そうじゃなくても元々チップや寄付の文化がある欧米諸国とは違って、日本の寄付市場は10分の1と言われているんだよ…涙 ファンドレイジングして、寄付者マネジメントするの結構大変なんだよ)と、そんなときには、ちょっと真面目に答えたりしている…。

無事先生に教材引き渡し完了…!の様子

…常に余裕があって、未来のことを考えよう、計画しようとする私たちと、その日生きることに精一杯の彼らと、同じときを過ごすことは難しくもありますが、成果が出たときには、もちろんやりがいもあります。また、勘違いするべきでないところは、特に農村部に生活する彼らは絶対的貧困の中にいますが、常に現金収入を得ることを考え、先進国の援助に頼らず、自立支援をしてほしいと願っています。誰もが、「かわいそうなアフリカの人」と思われたくはないのです。

寄付は、人々の生活の余裕から生まれる自己満足になってはいけない。

余談ですが…物質的にも経済的にも、ものすごーく恵まれた日本に住む私たち。ある一定以上の経済開発を終えると、右肩あがりだった経済発展のグラフがガクッと下がっていくという面白いデータがあります。(『FACT FULUNESS』という本が面白いのでおすすめです)

例えば、発展すればするほど、虫歯が増える、若年層の自殺者が増える、交通事故が増える、子どもの数が減るなどです。(援助しまくれば人口爆発が起こって経済発展が追い付かなくなるから、地球の資源がいくらあっても足りないと思い込む人がたまにいますが、開発教育(家族計画の啓発)は女性が生涯子どもを産む人数を適切に減らしていきます)

経済指数の高いところから、「貧しい国の人々」を見下ろす私たちにとっての、つかの間の寄付や投げ銭などの支援は、疲れた日常の中の、ほんの少しの余裕でできる自己満足になっているのかもしれません。(だから「いらないものを送る」というまったく罪の意識なき発想にもなるのでは…)

でも、「なんだかいいことをした」で終わってはいけないのです。

援助には必ず弊害も起こります。常に社会情勢が変化していくのと同時進行で、現地のニーズも刻々と変化していきます。今、テロや紛争、自然災害に苦しむ人々と、着実に平和になった国々でじわじわと頑張って経済発展している(シエラレオネのような)国とでは、もちろんニーズは違ってきます。今、本当に求められているのは、金なのか、技術移転なのか、無償労働(ボランティア)なのか、身近な人や団体が、頑張ってるから寄付する、友達がクラウドファンディングをやっているから、単純に応援するでは、あなたが汗水たらして稼いだお金がもったいないです。

「寄付者の権利宣言」というものがあり、寄付者は必ず、自分のお金を何に使って欲しいか、選択することができます。が、それがどこに使われてどんな影響を及ぼして、どんな成果が出ているのかを、(NPOは頑張って説明責任を果たそうとしますが)そのデータを、追いかけるか追いかけないかは、自分次第です。

寄付だけではなく、参加を。

誰もが気軽に募金箱に寄付する「寄付1.0」から、SNSを通して身近な顔の見える団体や人に寄付するようになった「寄付2.0」。これからは、自分で考え、見極め、当事者意識を持ち、参加していく「寄付3.0」の時代を、私たちで創っていけたら。

続編

農村部の少数民族への教育支援は押し付けか?問題ー全ての人が初等教育を受けるべき理由3つ【下里夢美の開発協力アウトプット】

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下里 夢美
下里夢美(27歳)月間19万PV「下里夢美オフィシャルブログ」を執筆。NPO法人アラジ代表理事。「世界で一番命の短い国」シエラレオネで3つの貧困削減プロジェクトと日本人ゲストハウス「CHAMELEON」の運営に取り組む。現地法人Africa Lion.Ltd 代表取締役。「日本最大のアフリカに挑戦する女性のためのコミュニティ・アフリカ女子部」部長。2014年3月より活動をはじめ、2017年7月にNPO法人化。※インタビュー・講演のご依頼は「shimosato@alazi.org」にて!2019年3月第1子出産・2020年3月第2子出産予定
下里夢美

下里夢美(27歳)月間19万PV「下里夢美オフィシャルブログ」を執筆。NPO法人アラジ代表理事。「世界で一番命の短い国」シエラレオネで3つの貧困削減プロジェクトと日本人ゲストハウス「CHAMELEON」の運営に取り組む。現地法人Africa Lion.Ltd 代表取締役。「日本最大のアフリカに挑戦する女性のためのコミュニティ・アフリカ女子部」部長。2014年3月より活動をはじめ、2017年7月にNPO法人化。※インタビュー・講演のご依頼は「shimosato@alazi.org」にて!2019年3月第1子出産・2020年3月第2子出産予定